Letter
進化:歯のバリウム分布は霊長類で生後早期に起こる食餌内容の移行を明らかにする
Nature 498, 7453 doi: 10.1038/nature12169
生後早期の食餌内容の移行は、霊長類の進化の基本的な側面であり、現代人集団での健康の重要な決定要因である。離乳は、発育や繁殖の速度に極めて重要である。早期の離乳は健康に悪影響をもたらす場合もあるが、より短い出産間隔を可能にして、個体群成長に影響を与える場合もある。化石において生後早期の食餌歴を明らかにすることは、化石化の過程で変化しないことがあらかじめ確認されたバイオマーカーが存在しないため、困難となっている。今回我々は、生後早期の食餌内容の大きな移行が、歯組織の構成成分の変化として現れることを示す。食餌歴があらかじめ記録されたヒトの子どもと飼育下のマカクザルの歯から、バリウム(Ba)の分布が、母乳の導入から離乳過程までの食餌内容移行を正確に反映することが明らかになった。また、旧石器時代中期のネアンデルタール人の子どもでも食餌内容の移行が確認され、その移行の状態から、母乳だけで7か月間育ち、その後の7か月間は補充的な食餌を与えられるというパターンが明らかになった。この時点以降、エナメル質のBa値が出生前の基準値に戻っていることから、1.2歳時に授乳が突然中止されたと考えられる。Baの空間的分布と歯の形成の組織学的マッピングを統合することにより、授乳の歴史の正確な再構築を通じて、ヒトの生活史の進化、野生霊長類の発育に伴う食餌内容の移行、およびヒトの健康調査に関する新しい研究が可能になる。

