Letter
微生物学:グルコース制御が正常、異常および糖尿病型であるヨーロッパ系女性の腸内メタゲノム
Nature 498, 7452 doi: 10.1038/nature12198
2型糖尿病(T2D)は、遺伝子と環境の複雑な相互作用の結果であり、年齢、家族歴、食習慣、デスクワーク中心の生活や肥満など、いくつかのリスク要因が同定されている。既知のT2Dリスク要因を統合した統計モデルによって、T2Dを発症するリスクが高い人の一部を同定することが可能である。しかし、そうした研究から、ヒトの遺伝学的特性がこうしたモデルにほとんど寄与せず、社会人口学的要因や環境要因の方が影響が大きいことが、これまでに示されている。近年の証拠からは、環境要因としての腸内微生物叢の重要性が示唆されており、また、腸内微生物叢の変化が肥満、糖尿病および心血管疾患などの代謝性疾患と関連付けられている。今回我々は、ショットガン塩基配列解読法を用いて、グルコース制御が正常、異常あるいは糖尿病型であるヨーロッパ系女性145人の糞便内メタゲノムの特性解析を行った。T2Dの女性のメタゲノムには、組成および機能の変化が見られた。また我々は、メタゲノムのプロファイルを基盤として、高い精度でT2Dと同定できる数理モデルを開発した。このモデルを耐糖能が異常な女性に適用したところ、糖尿病様の代謝特性を持つ女性を見つけ出せることが明らかになった。さらに、グルコース制御と薬物療法に大きな交絡作用がある可能性は低かった。また、最近報告された中国人コホートに我々のモデルを適用することで、ヨーロッパ系コホートと中国人コホートでT2Dを識別するメタゲノムマーカーが異なっていることが明らかになった。従って、メタゲノムによるT2D予測法は、研究対象集団の年齢や地理的位置に応じて特異的なものにすべきである。

