Letter

応用物理学:プラズモン増強ラマン散乱による単一分子の化学マッピング

Nature 498, 7452 doi: 10.1038/nature12151

化学認識による個々の分子の可視化は、触媒反応、分子ナノテクノロジー、バイオテクノロジーの分野において長年の目標である。分子振動は、そうした分子特定のための貴重な「指紋」となる。ティップ増強ラマン散乱に基づく振動分光法は、ティップ先端部に生じる強く局在化したプラズモン場を用いて非常に効率よく分子種のスペクトルシグナルを得る方法である。しかし、ティップ増強ラマン散乱画像化の最良の空間分解能は、まだ3〜15 nmまでという限界があり、単一分子を化学的に解像するのに十分ではない。今回我々は、空間分解能1 nm以下のラマン分光画像化を実証した。これにより、単一分子の内部構造と表面形状を解像できる。この分解能は、ナノ共振器プラズモンの共鳴を、分子の振動電子遷移、特にラマン光子放出の原因となる下方遷移にスペクトル的にマッチングさせることによって実現されている。こうしたマッチングが可能になるのは、走査トンネル顕微鏡法を用いて極めて精密な調節が可能になるからである。実験的証拠から示唆されるのは、ラマン励起とラマン発光の両方に関係する高効率の二重共鳴増強の生起による超高分解能の画像化には、トンネルギャップにおけるナノ共振器プラズモン場の高い閉じ込め性と広帯域性が不可欠なことである。今回の手法によって、単一分子レベルの化学画像化が可能になるだけでなく、単一分子の光学過程と光化学的性質を調べる新しい手段も得られる。

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