進化:発生に基づく遺伝子型–表現型マップの下での適応動態
Nature 497, 7449 doi: 10.1038/nature12142
自然選択が、遺伝的変動によって生み出されるあらゆる表現型に遭遇するのかどうか、その可能性は明らかでない。適応を制限する過程や、その結果として表現型がどの程度適応するのかについては、議論が長く続いている。本研究では、発生がどのように適応に影響する可能性があるかを調べるため、それぞれの遺伝子型とその適応度の関連を示す遺伝子型–適応度マップを2つに分解した。1つは、器官発生の計算モデルを用いて遺伝子型を表現型にマッピングするもので、もう1つは、表現型を適応度にマッピングするものである。表現型と適応度のマップでは、それぞれの個体の適応度は、実際の形態と最適な形態の間の類似度に基づいている。我々は3種類のシミュレーションを用いて表現型を適応度にマッピングしたが、これらは類似度の計算法に違いがある。すなわち、類似度の計算に当たって、それぞれの形質(それぞれの細胞の位置という観点から)を対象とするもの、多数あるいは少数の表現型指標を対象とするもの(「多数形質」と「少数形質」の表現型–適応度マップ)、および、形態の全体的な表面の粗さの測定によって計算するもの(「粗度」表現型–適応度マップ)である。進化のシミュレーションは、遺伝子型–表現型マップと1つの表現型–適応度マップを、集団内のそれぞれの個体、およびランダムな変異や浮動に対して適用することで行った。その結果、遺伝子型–表現型マップの複雑性が、いくつかの表現型–適応度マップにおいて実質的な適応を妨げることがわかった。持続的な適応は、「粗度」か「少数形質」の表現型–適応度マップを用いてのみ可能であった。以上の結果は、自然選択によって表現型のどの側面が効果的に最適化されうるかという、長年にわたる疑問を発生の面から解明するのに役立つ。

