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材料:溶融酸化物電気分解時の酸素発生用の新しいアノード材料

Nature 497, 7449 doi: 10.1038/nature12134

溶融酸化物電気分解(MOE)は、酸化物原料から液体状態の金属を直接製造できる電気冶金技術であり、従来の抽出冶金法と比べて工程がかなり単純化され、エネルギー消費が大幅に抑えられる。またMOEは、製鋼、炭素を必要としない金属製造、地球外探査用の酸素生成において有望なCO2排出低減手段とも考えられている。これまでMOEは、消耗しやすいアノード材料(鉄合金やチタンと併用するためのグラファイト)や地上用途には高価すぎるアノード材料(鉄と併用するためのイリジウム)を用いて実証されてきた。炭素を用いない金属製造を可能にするには、MOEは、酸素発生を持続するが消耗しにくいアノード材料を必要とする。製鉄の場合、問題が3つある。1つ目は工程温度が1538°Cを超えること、2つ目はアノード分極下ではほとんどの金属はそのような条件での腐食が避けられないこと、3つ目は酸化鉄がほとんどの高融点金属や炭素と接触すると自発的に還元することである。今回我々は、MOEによる鉄抽出や酸素発生中に、クロム系合金からなるアノードがわずかしか消耗しないことを示す。このアノードの安定性は、クロム(III)とアルミニウムの酸化物からなるコランダム構造の電子伝導性固溶体が形成されることに起因する。これらの研究結果によって、鉄鋼生産用MOEの実用的な大規模評価ができるようになり、冶金学的に優れた品質の金属を製造すると同時に温室効果ガス排出低減を可能にする主要材料成分が得られる可能性がある。

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