Letter
地球:先カンブリア時代から地殻内で隔離された深部破砕流体
Nature 497, 7449 doi: 10.1038/nature12127
鉱物内に包有物として閉じ込められた流体は、数十億年の年代を持つことがあり、鉱化作用が起きたときの環境や流体の化学的性質の記録を保持している可能性がある。鉱物界面や破断面で同程度の滞留時間を持つ水性流体(破砕流体)はこれまでは見つかっていなかった。連結性が低い基盤系からの破砕流体の放出は、脆い地殻の変形や破砕を通して起こる。この過程のフラクタルな性質から、あるスケールでは連結した流体のポケットが地殻の歴史の最初期から保持されていたと考えられる。南アフリカの金鉱山の地表から2.8 km下にあるそのような系の1つでは、数千万年の時間スケールで光球から隔離された流体内で、現存する化学合成独立栄養微生物が発見されている。同様な化学的性質を持つ深部破砕流体が、先カンブリア紀のカナダ楯状地地域のオンタリオ州ティミンズ鉱山で見つかっている。本論文では、ティミンズ鉱山の流体における過剰な124Xe、126Xe、128Xeは、古代の大気のキセノン同位体変化と関連があり、これを用いてこの流体の最小平均滞留時間は約15億年と算出できることを示す。古代の流体系に関するさらなる証拠は、129Xeでも見つかっており、確認できるマントルからの入力がないため、堆積物に供給源があり、約26億4000万年前の鉱化作用の間かそのすぐ後に流体移動過程によって抽出されたと考えられる。閉鎖系の放射崩壊によって生じた希ガス(4He、21Ne、40Ar、136Xe)の滞留時間も得られた。これらを合わせて、さまざまな希ガスから、古代の水のポケットは地殻破砕過程でも失われず、数十億年にわたって地殻内にとどまることが示される。

