Letter
医学:乳がんにおけるマイクロRNAの全体像の形成と機能的意義
Nature 497, 7449 doi: 10.1038/nature12108
マイクロRNA(miRNA)は、乳がんのサブタイプによって発現状態が異なり、発がん性のものと腫瘍抑制性のものがある。本研究では、1302の乳がんにおけるmiRNAの発現プロファイルを、それぞれに対応する詳細な臨床的アノテーション、長期追跡、ゲノムとメッセンジャーRNA(mRNA)発現データとともに報告する。こうしたデータは、miRNA集団の量、分布、変動に関する包括的な全体像を与え、ゲノム、転写および転写後に起きる事象がmiRNAの発現構成にどの程度関与するかについての情報を提供し、転写後調節の重要な役割を示唆している。miRNAの全体像に関連する主な臨床パラメーターや細胞経路の特徴が示され、細胞接着やWntシグナル伝達に関するものなど、状況依存的な相互作用が明らかになった。特に、体細胞コピー数異常を持たない(CNA-devoid)乳がん由来の予後予測miRNAシグネチャーのみが、他の複数のサブタイプの中で一貫して予後を予測する根拠となり、外部コホートで確認できたことは重要である。次にデータ駆動型の手法を用いて、mRNAの差別的な共発現に関連したmiRNAの影響を調べ、miRNAがオンオフ切り替えの分子スイッチというよりも、mRNA間相互作用の調節因子として働いていることを見いだした。我々は、免疫応答が顕著な一般的サブタイプであるCNAのない乳がんの生物学的性質に、miRNAが重要な調節的役割を持つことを示す。以上の結果は、ヒト乳がんにおけるmiRNAの生物学的研究に対する新たな枠組みを示すものである。

