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顕微鏡法:無傷生体系から構造的および分子的情報を引き出す

Nature 497, 7449 doi: 10.1038/nature12107

複雑な系について、その系の機能を解明するのに必要な全体像を維持しつつ、高解像度の情報を得ることは、生物学における主要な難題の1つである。今回我々はこの難題に、無傷組織をナノ多孔性ハイドロゲルにハイブリダイズさせた形態(親水性ポリマーの三次元ネットワークとの架橋体)に変換する方法(CLARITYと名付けた)を用いて取り組んだ。この形態は完全な集合体だが、光学的に透明で巨大分子の透過が可能である。マウス脳を用いて、長距離投射、局所回路の配線、細胞どうしの関係、細胞内構造、タンパク質複合体、核酸および神経伝達物質についての無傷組織画像を示した。CLARITYでは、無傷組織でのin situハイブリダイゼーション、非切片化組織での複数回の染色や脱染色による免疫組織学的研究、および無傷成体マウス脳全体の抗体標識も可能である。さらに、CLARITYは、神経精神疾患患者の非切片化ヒト組織などの臨床検体の詳細な構造解析も可能にするので、ヒト組織を、生理学的機能や疾患の構造および分子基盤の研究に適した、利用しやすく安定な無傷の形態に変換する方法が確立されたことになる。

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