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神経科学:傷害後SVZニッチから起こる保護的なアストロサイト産生はNotch修飾因子Thbs4により制御される

Nature 497, 7449 doi: 10.1038/nature12069

げっ歯類の脳室下帯(SVZ、別名脳室上衣下帯)中に存在する生後/成体神経幹細胞(NSC)は、嗅球回路に遊走し統合されるDcx(doublecortin)+神経芽細胞を産生する。神経芽細胞の持続的な産生は、SVZの微小環境ニッチによって制御される。一般に、内因性NSCの神経産生活性の増強は、病的状態や脳損傷後に必要な治療の選択肢となる可能性があると考えられている。しかし、SVZのNSCはアストロサイトにも分化可能である。SVZニッチで、神経産生よりもアストロサイト産生が選択される条件があるのか、SVZで産生されたアストロサイトは脳の別の場所で作られたアストロサイトとは異なる性質を持つのかどうかは不明である。今回我々はマウスで、SVZで産生されたアストロサイトでは分泌ホモ五量体糖タンパク質トロンボスポンジン4(Thbs4)の発現レベルが高いが、これに対して皮質のアストロサイトではThbs4の発現レベルが低いことを示す。光感受性色素と光照射による塞栓/虚血皮質傷害は、生後SVZニッチからのThbs4hiアストロサイトの顕著な増加を引き起こした。タモキシフェン誘導nestin-creERtm4系譜追跡実験により、傷害皮質に向かうのはSVZで産生されたこれらのThbs4hiアストロサイトであり、Dcx+神経芽細胞ではないことが明らかになった。このロバストな傷害後アストロサイト産生応答は、直接的なNotch1受容体結合とエンドサイトーシスを介してThbs4によって調節されるSVZ Notch活性化を必要とし、グリア産生に重要なNfia転写因子発現増加などの下流シグナルを活性化する。したがって、Thbs4ホモ接合体ノックアウトマウス(Thbs4KO/KO)では、皮質傷害誘導性SVZアストロサイト産生が重度に障害され、代わりにSVZから傷害部位に遊走するDcx発現細胞が産生されることがわかった。細胞応答のこのような変化の結果、傷害後にグリア細胞による異常な瘢痕形成が起こり、Thbs4KO/KOマウスの脳実質への微小血管からの出血が著明に増加した。総合すると、以上の結果は、治療下、またThbsファミリーメンバーが重要な役割を持つ病的状態における内因性および移植されたNSCの傷害後の適用に、重要な関係がある。

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