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構造生物学:Lactobacillus brevis由来の葉酸エネルギー共役因子輸送体の結晶構造

Nature 497, 7448 doi: 10.1038/nature12046

ABC(ATP結合カセット)輸送体は取り込み輸送体と搬出輸送体からなり、ATP加水分解のエネルギーを使って多様な基質の膜を通過する輸送を行う最大のタンパク質ファミリーの1つを形成している。ABC輸送体のほとんどは、2つの膜貫通ドメインと、細胞質側にある2つのヌクレオチド結合ドメインからなる。また、原核生物由来の取り込み輸送体では、この他にペリプラズムに溶質結合タンパクが存在するのが普通で、これは基質の結合に関わっている。これまでに報告された取り込み輸送体の構造は、輸送機構として2状態モデルを示唆するものだった。エネルギー共役因子(ECF)輸送体は、ATP結合カセット輸送体の新たなクラスに属する。各ECF輸送体は、1つの膜貫通Tタンパク質(EcfT)と、2つのヌクレオチド結合タンパク質(EcfAとEcfA′)、そしてもう1つの膜貫通タンパク質で、基質に特異的に結合するSタンパク質(EcfS)からなる。ABC輸送体との類似性にもかかわらず、ECF輸送体は構成と機能の特徴が異なっている。ECF輸送体は溶質結合タンパク質を欠く点で、典型的なABC輸送体と明らかに区別される。EcfSタンパク質のRibUとThiTの以前に報告された構造から、それぞれの基質であるリボフラビンおよびチアミンの結合部位が明らかにされた。しかし、4つの要素の編成状況やECF輸送体の輸送機構はまだわかっていない。今回我々は、Lactobacillus brevisに由来する無傷の葉酸ECF輸送体の分解能3 Åでの構造を示す。この構造は、基質を結合しておらず、ヌクレオチドが存在しない内向きのコンホメーションを捉えたものである。葉酸結合タンパク質FolTは、膜とほぼ並行に配置されていて、EcfTにほぼ完全に結合している。EcfTはL型の形状をとっていて、2つの連結へリックスを介してEcfAとEcfA′に結合している。EcfTの2つの結合へリックスにある2つの保存されたXRXモチーフは、EcfA–EcfA′への結合によりエネルギー共役に重要な役割を果たしている。これらから、FolTのかなり大きなコンホメーション変化を含む輸送モデルが考えられる。

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