細胞:M-CSFは単一の造血幹細胞に骨髄細胞系譜の運命を指示する
Nature 497, 7448 doi: 10.1038/nature12026
感染や炎症などのストレス条件下では、体は、そのストレスに適応する新しい血液細胞を迅速に作り出す必要がある。造血サイトカインは、細胞系譜が拘束された前駆細胞の生存、増殖および分化に影響を与えることで、特定の成熟細胞の産出を増加させることが知られているが、長期造血幹細胞(LT-HSC)がサイトカインの直接の細胞系譜指定効果を受けやすいかどうかについては議論が続いている。転写因子バランスを遺伝学的に変化させると、HSCはサイトカインによる指示を受けるようになるが、一般に、HSCの拘束は、細胞系譜特異的転写因子のような細胞固有の調節因子の確率論的変動が引き金となって起こり、サイトカインはそのような子孫細胞の生存や増殖を確実にする役割を担うと考えられている。本論文では、感染や炎症の際に放出される骨髄性サイトカイン、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF、別名CSF1)が、骨髄系細胞のマスター調節因子であるPU.1を直接誘導して、マウスHSCの骨髄系細胞への運命変化を指示でき、これは選択的な生存あるいは増殖とは独立して起こることを示す。ビデオ画像化と単一細胞での遺伝子発現解析から、培養系において高度に純化されたHSCにM-CSF刺激を行うと、PU.1プロモーターの活性化および、骨髄系細胞の遺伝子シグネチャーと分化能を持つPU.1+細胞の数の増加が引き起こされることが明らかになった。in vivoで、M-CSFの全身レベルを高めると、単一HSCでの内因性PU.1タンパク質のM-CSF受容体依存的な活性化が直接誘発され、PU.1依存的な骨髄系細胞への分化選択性が誘導された。我々のデータは、細胞系譜特異的サイトカインがin vitroおよびin vivoで直接HSCに作用でき、細胞の性質を変えるように指示することを実証している。この結果は、HSCが環境からの攻撃に応答する仕組みについての現在の考え方を根本的に変えるもので、ストレス誘導性サイトカインがHSCの運命を直接指示する因子であることを示唆している。

