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気候:亜熱帯北大西洋への深海のケイ酸塩の、退氷による一時的な流入

Nature 495, 7442 doi: 10.1038/nature12006

氷期に二酸化炭素の濃度が低かった原因は、海洋内部における二酸化炭素の貯蔵量の増加であり、主として南大洋の変化の結果であることを示唆する証拠が増えている。最近の退氷期の初期には、北大西洋の南北方向の鉛直循環の減少によって、南大洋から二酸化炭素の放出が生じたと思われるが、北大西洋と南大洋を結びつける機構はまだ解明されていない。低緯度域の海洋における生物源オパールの移出量は、その下に存在する温度躍層から放出されるケイ酸塩に依存し、その濃度は海洋の内部循環の影響を受ける。本論文では、北西アフリカ沿岸沖の沿岸湧昇系から移出される生物源オパールの記録から、過去55万年間にわたって各氷河期の末期に、オパールの著しい極大が見られることを報告する。こうしたオパールの極大は、ケイ酸塩に乏しい氷期の北大西洋中層水(GNAIW)の形成が、退氷に伴って大きく減少したことと一致する。GNAIWが失われたために、ケイ酸塩の豊富な深海水との混合が可能になり、海洋表面へのケイ酸塩の供給が増加した。南大洋における偏西風に駆動される湧昇が、北大西洋の変化に応答して増加したために、退氷期に大気中の二酸化炭素が増加したと考えられてきた。しかし、そのような循環変化は、南極の中層水と亜南極のモード水の形成を加速しただろう。現在のこうした中層水とモード水は北大西洋深層水と同じくらいケイ酸塩に乏しく、そのために大西洋の温度躍層のケイ酸塩濃度が低く維持されてきたのであろう。今回報告した退氷期のオパールの極大は、退氷期の二酸化炭素放出に関するもう1つの機構を示唆している。GNAIWの減少は、ケイ酸塩の上方への移出をもたらしたのと同時に、暖かく密度の低い表層水を下方へ混合して、深海へ到達させることも可能にしたと考えられる。その結果、南大洋表層の密度に比べて、大西洋の深海の密度が減少し、南極の南北方向の鉛直循環が促進されて、大気中へ二酸化炭素が放出された。

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