細胞生物学:コンホメーション変化に関わるバイオセンサーによって明らかになったエンドソームからのGPCRシグナル伝達の存在
Nature 495, 7442 doi: 10.1038/nature12000
分子薬理学では長い間、ヘテロ三量体Gタンパク質と共役しているGタンパク質共役受容体(GPCR)による古典的なシグナル伝達は、細胞膜だけで起こっていると考えられてきた。従来からのこのような説を裏付ける証拠は、分解能が限られていたり、あるいは細胞レベル以下の分解能がなかったりするような分析法に基づいて得られたものである。その後に、細胞内に取り込まれたGPCRによるシグナル伝達は、アレスチンによる足場形成のようなGタンパク質非依存的な機構に限られているとか、GPCRの活性化が全く別の持続的Gタンパク質シグナル伝達を誘発する、あるいは、細胞内に取り込まれたGPCRが実際にGタンパク質を介した急性応答に寄与することがあるなどの説が出されている。これらのさまざまな仮説を裏付ける証拠は間接なものだったり、別の解釈が可能だったりするもので、またエンドソームに局在するGPCRが活性型で存在するかどうかさえ、解明されていない。今回我々は、コンホメーション特異的な単一ドメイン抗体(ナノボディ)を使って、古典的なGPCRであるβ2アドレナリン受容体とそれに対応するGタンパク質であるGsの活性化を、生きている哺乳類細胞内で直接調べたことを報告する。アドレナリン作動性アゴニストであるイソプレナリンは予想通り、受容体とGタンパク質の細胞膜での活性化を促進したが、活性化は初期エンドソーム膜でも起こることがわかり、また細胞内に取り込まれた受容体も、アゴニスト投与の数分後には細胞全体のサイクリックAMP応答に関与することがわかった。今回の結果は、古典的なGPCRシグナル伝達が細胞膜に加えてエンドソームからも生じるという仮説を直接裏付ける証拠であり、in vivoでの動的コンホメーション変化を調べるために幅広く利用できる戦略を示唆している。

