Letter

物理:並進温度の低い分子の共同振動冷却を示す証拠

Nature 495, 7442 doi: 10.1038/nature11937

原子に比べて分子は豊かな内部構造を持ち、この豊かさによって技術、科学を進展させる多くの機会が得られる。この構造を研究すれば、量子化学への非常に重要な知見、量子情報を操作する新しい方法、離散対称性の破れと基本定数の変動を検証する改善された手法が得られる可能性がある。この可能性を利用するには、通常、その量子回転振動基底状態にある低温分子を調製する必要がある。しかし、分子には内部構造があるため、そのような試料を作製する取り組みが非常に複雑になる。長寿命の振動準位に蓄えられたエネルギーを取り除くのは特に困難である。それは、振動準位間の光学遷移が厳密な選択則に支配されておらず、そのためレーザー冷却が難しくなるためである。さらに、従来型の衝突による冷却法すなわち共同冷却法は、分子の振動運動を急冷するには効率が悪い。本論文では、捕獲されたBaCl+分子の振動運動が、古典散乱速度すなわちランジュバン速度とほぼ等しい速度の極低温カルシウム原子との衝突により急冷されることを、実験により実証する。この方法は従来型の共同冷却方式よりも4桁以上効率がよい。関与する衝突エネルギーが低いことに加えて、カルシウムの高い分極率に起因する強い相互作用ポテンシャルの結果として、高い冷却速度が生じ、振動基底状態占有率が少なくとも90%の分子試料が得られた。我々の実証実験では、相対的な光解離収率に依存する新しい温度測定法を使っている。振動温度の低下は穏やかであるが、直接改善を行えば、100ミリ秒以内に振動基底状態占有率が99%を超える分子試料を作製できると考えられる。分子回転運動の共同冷却は、従来型の系の振動冷却よりもはるかに効率がよいため、この方法は分子の回転運動も効率よく冷却できると予測される。さらに、この手法は極低温原子や分子の数多くのさまざまな組み合わせに応用できる可能性がある。

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