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分子生物学:不適合コドンの使用は概日時計の条件制限性を成立させる機構となっている

Nature 495, 7439 doi: 10.1038/nature11942

概日リズムは生物過程に見られる振動であり、ほとんどの環境で見られる日周リズムに対する重要な適応として機能している。モデル生物であるシアノバクテリアの概日時計系では、中心となる振動体タンパク質は、遺伝子クラスターkaiABCによってコードされている。kai遺伝子のように高度に発現されている機能的に重要な遺伝子は、通常は適合コドンを使ってコードされているが、kaiBC遺伝子のコドン使用頻度の偏りは翻訳効率に関して最適化されてはいない。我々は、コドン使用頻度と概日リズムの一般的な特性である条件制限性との間に関係があることを見いだした。条件制限性とは、内因的な周期性が一部の環境条件の下ではロバストに現れるが、それ以外の環境条件下ではロバストにならないことを言う。概日リズムの条件制限性は広く見られる特性だが、その分子基盤は、どの系でもまだ明らかになっていない。今回我々はシアノバクテリアのSynechococcus elongateでは、不適合コドンの使用が選択され、環境条件に対する適応応答として、遺伝子発現の概日性調節と非概日性調節とを切り替える転写後スイッチ機構となっていることを示す。KaiB、KaiCタンパク質の発現が亢進するようにkaiBCの配列を実験的に最適化すると、このシアノバクテリアが天然の生息環境で経験しているような低温条件下で、内因的な周期性が強化された。しかし、このような低温での適応度が最も高かったのは、大きな振幅のリズムを示す細胞と比べると、低温で内因的リズムが抑制されている細胞のほうだった。このような結果は、シアノバクテリアでは、低温でロバストに現れる概日系を退けるような自然選択が働いていることを示している。したがって、概日リズムの振幅の調整は、適応性を考えた場合に非常に重要となる。また今回の結果は、複雑な表現型と生物の適応度にコドン使用頻度が直接影響することも明らかにしている。この研究は、方向性選択は最適コドンの選択に向かっていくという、ずっと以前からの考え方に疑問を投じるもので、最適コドンを選ばないような自然選択が働いて環境変化への適応応答を達成するという重要な例を明らかにしている。

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