気候科学:スノーボールアースの海洋力学
Nature 495, 7439 doi: 10.1038/nature11894
地質学的証拠は、海氷が新原生代(約7億5000万〜6億3500万年前)に少なくとも2回、赤道まで拡大したことを示唆しており、地球がかつて全球的に氷に覆われたというスノーボールアース仮説につながった。スノーボールアースで起こりうる気候では、海洋循環と混合過程が、融解速度と凍結速度を定めて氷の厚さが決まり、光合成生物の生存に影響を与えたと考えられ、地球化学的観測や堆積学的観測の解釈に大きな制約を与える可能性がある。本論文では、スノーボールアースにおいては海洋は十分に混合され、活発な循環を特徴とし、赤道付近の激しい南北方向の鉛直循環、東西方向の赤道ジェット、よく発達した渦場、強い沿岸湧昇と対流混合を伴っていたことを示す。この結論は、海洋が厚い氷に覆われて大気強制力から隔離されるために、スノーボールアースシナリオで予測されることの多い不活発な海洋とは対照的である。激しい対流混合の結果として、海水の温度、塩分、密度が、鉛直方向に均一になっていたか、いくつかの場所で弱く成層していた。今回の結果は、氷の流れと海洋循環の結合モデルに基づいており、このモデルは、全球的に厚さ約1 kmの氷で覆われた状況下で、弱い地熱フラックスによって駆動される。現在の海洋に比べて、スノーボールアースの海洋の鉛直混合速度ははるかに大きく、海洋渦による水平混合は同程度であった。強い循環と沿岸湧昇の結果、大陸付近の融解速度はこれまでの見積もりの10倍になった。我々は、全球的に氷で覆われた状態の存在をめぐる論争は解決できないが、光合成活動への栄養供給と縞状鉄鉱層に対する影響を検討している。海洋力学に関する今回の知見と制約は、将来の地球化学的観測と地質学的観測と組み合わせれば、スノーボールアースについての論争の解決に役立つ可能性がある。

