生態:海洋中に豊富に存在するSAR11ウイルス
Nature 494, 7437 doi: 10.1038/nature11921
海洋生態系でSAR11クレードの細菌が著しく優占しているのは、バクテリオファージ感染への抵抗性をもたらす独特な機構があるためではないかという説が、いくつかの研究によって提案されており、そうした機構として、細胞の小型化による「捕食対象として見られることの回避(cryptic escape)」やK戦略者に対する防御への特化などが考えられている。また別の説としては、高親和性輸送体遺伝子を含む最小のゲノムと相まって高い表面積対体積比が進化することで、全球の海洋に溶けている有機物質を酸化するための非常に効率の高い代謝が可能になり、それによって、ファージ感受性があっても非常に大きい個体群サイズが維持できるのだというものがある。これらの考え方は、捕食にトップダウン型機構が重要な役割を果たしている可能性を重視しているため、プランクトンの生態を解明するのに重要であり、それゆえSAR11集団の大きさや、これらの集団が同時に生物地球化学的循環で担う役割の決定につながる。今回我々は、ウイルスの2つの科に属する多様なSAR11ウイルスを培養により単離したことを報告し、それらを宿主にちなんで「ペラジファージ(pelagiphage)」と命名することを提案する。注目すべきは、ペラジファージのゲノムが海洋ウイルスメタゲノム中に高頻度に見られることで、自然界での重要性をはっきり示している。新しいこれらのファージの1つであるHTVC010Pはポドウイルスの新しい亜科を構成し、この新亜科は、調べた全データセットでこれまでに見られたどの亜科よりも存在量が多く、生物圏において最も大量に存在するウイルス亜科の1つである可能性がある。この発見は、SAR11細胞がウイルス捕食による感染を免れるという考え方に対する反証となり、SAR11クレードが非常に豊富に存在し得ているのは資源競争にうまく適応するよう進化した結果であるとの見方に一致する。

