気候:二酸化炭素の変動によって絞り込まれた気候変動に対する熱帯の炭素の感度
Nature 494, 7437 doi: 10.1038/nature11882
熱帯林からの炭素放出によって、将来の気候変動が悪化する可能性があるが、さまざまな気候モデルにおける炭素放出の影響の大きさは、まだ定まっていない。陸域の炭素蓄積量は、大気中のCO2濃度がより高い条件下では、植物の光合成と水利用の効率が同時に高まる結果として増加するが、温暖化に伴って土壌と植物の呼吸速度が高まるために減少もするという点では、気候炭素循環結合モデルはおおむね一致している。現在のところ、これらの影響のバランスは、複数の気候炭素循環結合モデル間で大きく異なり、熱帯陸域に蓄積された炭素の2100年までの予測変化量には330ギガトンもの幅がある。この大きな不確かさの説明として、アマゾン川流域の降雨の変化予測がモデルによって異なることや、異なる植生モデルが温暖化に対して示す応答の違いなどが挙げられる。今回我々は、モデルのアンサンブル全体で、温暖化に対する熱帯陸域の炭素蓄積量の感度と、熱帯の気温偏差に対する大気中のCO2の年間成長率の感度の間に線形関係が現れることを見いだした。大気中のCO2濃度と熱帯の気温の近年の観測データとを組み合わせると、この関係から、気候変動に対する熱帯陸域の感度に強い制約条件が得られる。北緯30度から南緯30度の熱帯陸域において、温暖化のみで、1 K当たり53±17ギガトンの炭素が放出されると見積もられる。制約条件のない気候炭素循環モデル予測のアンサンブルと比較すると、このことは、CO2による肥沃化効果が現在のモデルで示唆されるものと同程度であれば、CO2によって引き起こされる気候変動に対するアマゾンの森林の立ち枯れの危険性がはるかに低いことを示している。しかし、我々の結果は、温暖化がエアロゾルの減少やほかの温室効果ガスの増加に起因するなら、炭素が熱帯陸域から失われる可能性が高くなることも示唆している。

