生態:生物多様性は宿主群集の感染受容能の予測可能な変化を介して疾患を減少させる
Nature 494, 7436 doi: 10.1038/nature11883
種の絶滅速度および疾患の出現速度が上昇していることは、生物多様性の変化が疾患の成り行きにどのように影響を及ぼすかを理解する重要性をはっきり示している。過去10年間に、宿主の生物多様性と疾患リスクとの間に負の相関があることを報告する研究が増え、生物多様性の保全がヒトや野生生物の健康を増進させる可能性があるとする考え方が出てきた。しかし、多様性と疾患の結びつきの一般性は推測にとどまっている。その理由の一因は、宿主の感染受容能(感染を維持および伝播する能力)と群集が組み立てられていく順番との関係を示す実証的証拠がはっきりと得られていないことにある。今回我々は、高分解能のフィールドデータと多重スケール実験を統合して、宿主の多様性が病原性の強い寄生性吸虫類のRibeiroia ondatraeの伝播を抑制し、種の豊富さ、宿主の構成および群集の感染受容能の一貫した結びつきの結果として、両生類の疾患を低減させることを示す。345か所の湿地の調査から、種数の少ない群集では感染受容能の高い宿主が優占するが、多様性のある群集では抵抗性のより高い種がしだいに数を増していくというように、群集の構成が種の豊富さの変動につれてランダムでなく変化することが示唆された。その結果、調べた24,215体の宿主の間では、両生類の種の豊富さが病原体の伝播と疾患の病状を大きく抑え、より種数の多い群集では実際の伝播を78.4%も低下させた。実験系およびメソコスムの操作では、宿主密度を制御すると、現実的な多様性勾配にわたって病原体の伝播と宿主の病状に約50%の減少が見られることが明らかになった。これは、多様性と疾患の関係や、それらの宿主適応度に対する影響の基盤にある機構を調べるのに役立つ。これらの知見は、種の豊富さと群集の感染受容能の間の一貫した関連性を示すことによって、感染リスクに対する生物多様性の影響を明らかにし、また、群集を基盤とする研究手法が感染症の理解に有益なことを強調している。

