Letter
化学:アミンおよびアルコールのエナンチオ選択的合成向けの触媒としての単純な有機分子
Nature 494, 7436 doi: 10.1038/nature11844
エナンチオ選択的変換による複雑な有機化合物の合成に使える触媒の発見は、生命科学の進歩にとって重要な問題である。このため、多くの研究が、片方の鏡像異性体が支配的なキラル分子を合成できる触媒の発見を目標としている。理想的な触媒ならば、貴重な元素は含まれず、反応は単純な操作手順により数時間で完了するだろう。本論文では、不飽和有機ホウ素試薬とイミンおよびカルボニルの反応を触媒できる一連の有機小分子について報告する。この反応の生成物は、高エナンチオ純度のアミンとアルコールであり、生物活性分子の合成で中間体として使える可能性がある。この種の触媒の目立った特徴は、「重要な」プロトンがそれらの構造内に組み込まれていることである。触媒は、豊富に存在するアミノ酸であるバリンから誘導され、安価な試薬を用いて4段階で大量合成される。反応には拡張性があり、厳しい条件を必要としない。さらに、0.25モルパーセントという少量の触媒を用いて、室温で6時間未満で反応し、収率は85%を超え、97:3以上のエナンチオマー比で生成物が得られる。変換効率、選択性、変換操作の単純さ、ホウ素系試薬の種類の多さを考えると、化学、生物学、医学の分野で有用なアミンとアルコールの合成における今後の進展に向けて、今回の成果が重要になると考えられる。

