気候:日射によって南大洋の対流と深海水温に誘導された中期ブリュンヌ遷移
Nature 494, 7436 doi: 10.1038/nature11790
短い温暖期によって中断された長い寒冷期を特徴とする氷期–間氷期サイクルは、更新世の気候の主要な特徴であり、過去と将来の間氷期の相対的な強度と持続期間は文明世界における大きな関心の的となっている。43万年前以降の間氷期は、それ以前の間氷期より温暖な気候と高濃度の二酸化炭素を特徴とするが、この気候遷移[いわゆる中期ブリュンヌイベント(MBE)]の原因はわかっていない。本論文では、モデルシミュレーションに基づいて、日射の変化のみに応答して、海氷、水温、蒸発、塩分の間の相互作用によって、MBE以前の激しい南極底層水の形成と南大洋の対流が生じたことを示す。得られた結果は、南半球の冬季の離心率の変化と夏季の黄道傾斜角の変化に起因する緯度方向の日射勾配の増大を通して、強い偏西風が南大洋におけるMBE以前の鉛直循環を増大させたことを示している。より強い底層水形成によって、それ以前の間氷期に深海がより低温化した。MBE以前の間氷期と以後の間氷期について、深海の水温と南大洋の対流に日射によって生じたこのような差違は予想されていなかった。なぜなら、天文パラメーターには、43万年前の前後の間氷期で、直接的で系統的な差が存在しないからである。見かけ上のMBEは現実の「事象」ではなく、日射条件のさまざまな組み合わせに対する個々の間氷期の応答(一般的なパターンに対する著しい例外をも含めた)の重なりの結果のように思われる。したがって、人為的な干渉がないと仮定すれば、将来の間氷期は、気候強制力の系統的な変化がないMBE以前あるいは以後の特徴を持つ可能性がある。これらの知見は、約43万年前の間氷期の二酸化炭素濃度の変化の大きさを理解する第一歩となる。

