環境:米国中西部の耕作限界地からの持続可能なバイオエネルギー生産
Nature 493, 7433 doi: 10.1038/nature11811
バイオ燃料生産に関する欧米の法令は、食用作物を穀物系エタノール生産に向かわせているが、このことは、土壌炭素隔離、亜酸化窒素放出、硝酸塩汚染、生物多様性、ヒトの健康に有害な影響を及ぼすと考えられる。代替策の1つとして、「耕作限界地」でのリグノセルロース(セルロース)系作物の栽培が挙げられる。セルロース系原料は望ましい結果を環境にもたらすと考えられ、将来のエネルギーポートフォリオの相当部分を占める可能性がある。しかし、セルロース系原料生産にどれだけの耕作限界地が利用可能であるかは明らかでなく、それから生じる温室効果ガス(GHG)の放出量も定かではない。今回我々は、米国中西部10州の耕作限界地に関して、相当量のバイオマスを生産すると同時にGHG放出量を抑制する能力を評価した。6通りのそれぞれ異なる耕作方式を20年間にわたって比較評価した結果、連続的な草本植生は、一度確立されれば、バイオ燃料用作物に匹敵する直接的GHG放出量抑制能力[年間1 m2当たり−851±46 gのCO2相当放出量(gCO2e m−2 yr−1)]を示すことがわかった。 施肥を行った場合、その群落は年間1ヘクタール当たり約63±5ギガジュールのエタノールエネルギーを生産する能力を有する。これに対し、近隣で耕運を行わずにトウモロコシ・大豆・小麦の輪作を行って得られるバイオ燃料エネルギーは、年間1ヘクタール当たりの平均で41±1ギガジュールであり、正味の直接的抑制能力は−397±32 gCO2e m−2 yr−1である。トウモロコシの連作で生産されるバイオ燃料エネルギーは、年間1ヘクタール当たり約62±7ギガジュールと推定され、抑制効果は13%低い。我々はさらに、この地域の耕作限界地の連続植生に関する定量的モデルを分解能0.4ヘクタールで作成した。このモデルでは、各モデル地点が仮想のバイオ精油所から80 km以内という条件を設定した。その結果、約1,100万ヘクタールのそうした植生から年間約21ギガリットルのエタノールが得られる可能性が示唆された。これは、2007年の米国エネルギー自給・安全保障法が義務付けたセルロース系バイオ燃料の2022年の目標値の約25%であり、初期的な炭素負債もなければ、食糧系バイオ燃料に付随する間接的な土地利用コストも不要である。水質や生物多様性など、バイオ燃料の持続可能性に関する地域スケールのほかの側面に関しては、今後の研究が待たれる。

