Letter
神経生物学:ショウジョウバエでのすばやいにおい側性化を可能にする非対称性の神経伝達物質放出
Nature 493, 7432 doi: 10.1038/nature11747
ショウジョウバエでは、個々の嗅覚受容器ニューロン(ORN)のほとんどが、脳の左右両側に投射している。片側ではなく両側に投射することは、ハエにとって有用な重複なのだろうが、ORNが脳の両側に投射することで、においの側性化能は弱められると考えられる。しかし、歩行中あるいは飛行中のハエは、におい刺激がより強い方向に触角を向けるとされている。本論文では、ORNの1発の発火により放出される神経伝達物質の量が、細胞体のにおい刺激を受けた側と同側にある軸索枝からのほうが、反対側の軸索枝に比べて約40%多いことを示す。その結果、あるにおいが2本の触角を非対称に活性化すると、刺激を受けたのと同側の中枢ニューロンは、反対側のニューロンに比べて数ミリ秒早く発火を始め、発火の頻度も30〜50%高くなる。また、歩行中のハエは、左右の触角葉への総ORN入力について5%の非対称性を検出でき、ハエが1歩歩き終わるのに要するよりも短い時間内に、においの来る側に向くことができる。これらの結果は、1本の軸索が2つの標的細胞上に同じ機能と形態のシナプスを作ることで形成されている出力側シナプス上で、神経伝達物質放出の特性は互いに無関係に調整可能であることを示している。また、これらの知見は、スパイク発火のタイミングや発火率の差のわずかな違いが、嗅覚行動に確かな差を生み出せることを示している。

