Letter

物性:誘電体を光の電場で制御する

Nature 493, 7430 doi: 10.1038/nature11720

マイクロ波場による半導体の電気的・光学的特性の制御は、現代の電子工学、情報処理、光通信の基礎を形成している。そのような制御を光周波数まで拡張するには、誘電体などの広帯域材料が必要となり、そうした材料の物性を変えるためには強い電場が必要である。数サイクルのレーザーパルスによって、ダメージを与えずに誘電体に数V/Åの電場をかけることができ、その電子系を大きく変えられる。そのような強度と時間的に限られた電場は、光の周期の範囲内で誘電体を絶縁状態から伝導状態へと変えることができる。しかし、電気信号制御・処理の光周波数への拡張は、これらの効果が誘起される速度と同じくらいの速度で逆転できるかどうかに依存する。今回我々は、サブフェムト秒固体分光法を用いて、基礎となる電子過程を調べた。これにより、光の電場で誘電体の電子構造と電気分極率を可逆的に操作できることが明らかになっている。誘電体(溶融シリカ)に数V/Åの波形制御した近赤外数サイクル光場を照射し、極紫外吸収率と近赤外反射率の変化を約100アト秒から数フェムト秒の時間スケールで調べた。場によって誘起された変化は、駆動場のオン・オフ挙動に高度に非線形に従っており、量子力学モデルの予測と一致している。この効果の超高速可逆性は、光の電場で誘電体の物性を制御できることを意味しており、ペタヘルツ帯域幅信号操作の可能性をもたらす。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度