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細胞:YAPによる腸幹細胞の増殖と再生応答の制限

Nature 493, 7430 doi: 10.1038/nature11693

再生過程の顕著な特徴は、器官の構造が修復されると増殖を停止させることができる点である。Wntシグナル伝達経路は、哺乳類の腸で恒常性を維持する自己複製や再生の主要な推進力となっている。しかし、Wntによって促進される増殖に拮抗する機構はほとんど解明されていない。本論文では、マウスおよびヒトにおいて、強力な増殖誘導性や発がん性が知られているタンパク質YAP(yes-associated protein 1、別名YAP1)が予想外の増殖抑制機能を持ち、腸の再生過程でWntシグナルを制限することを実証する。YAPをトランスジェニックに発現させると、Wnt標的遺伝子の発現が低下し、腸陰窩が急速に喪失する。さらに、YAPを欠損させると、再生過程でWntの応答が亢進し、過形成、腸の幹細胞やニッチ細胞の増殖および異所性陰窩や微小腺腫の形成が起こる。我々は、細胞質のYAPが、AXIN–APC–GSK-3β複合体とは独立に、DVL(dishevelled)の活性の制限などによって、Wntシグナル伝達の上昇を制限することを見いだした。DVLは腸の幹細胞の核でシグナルを伝達し、また、DVLの強制発現によって陰窩でのWntシグナル伝達が増強する。YAPは、再生増殖過程でDVLの核移行を制限することでWntシグナルを抑制する。さらに、非常に悪性度の高い未分化なヒト結腸直腸がんの一部でYAPがサイレンシングされていること、またYAPの発現によって結腸直腸がん異種移植片の増殖を制限できることの証拠を示す。まとめると、我々の研究は、再生中の組織で増殖シグナルが打ち消される仕組みについて新しい理論的枠組みを提供する。さらに、我々の知見は、ヒトの悪性腫瘍でYAPを標的とすることに関係している。

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