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構造生物学:ヒトのプロテアーゼ活性化受容体1の高分解能結晶構造
Nature 492, 7429 doi: 10.1038/nature11701
プロテアーゼ活性化受容体1(PAR1)は、トロンビンや、その近縁のプロテアーゼへの細胞応答にかかわるGタンパク質共役受容体ファミリーの典型的なメンバーである。トロンビンは、PAR1のアミノ末端細胞外ドメインの切断により不可逆的にこの受容体を活性化する。この切断によって、連結しているペプチドリガンド(tethered ligand)が露出するようになり、これが受容体の7本ヘリックスバンドルに結合してGタンパク質の活性化を引き起こす。今回我々は、PAR1のアンタゴニストであるボラパクサールに結合したヒトPAR1の2.2 Å分解能での結晶構造を報告する。この構造から独特な薬剤結合様式が明らかになり、小型分子が実際上不可逆的に結合して、PAR1の連結型リガンドによる受容体活性化を阻害する仕組みが説明される。ペプチドにより活性化されるほかのGタンパク質共役受容体では、溶媒中に露出した深い結合ポケットが見られるが、これとは対照的に、ボラパクサールが結合するポケットは表面近くにはあるが水性溶媒に露出している表面がほとんどない。プロテアーゼ活性化受容体は薬剤開発における重要な標的である。今回報告された構造は、改良型PAR1アンタゴニストの開発や、この受容体ファミリーのほかのメンバーに対するアンタゴニストの発見を助けると考えられる。

