構造生物学:転写メディエーター複合体のヘッドモジュールの構造
Nature 492, 7429 doi: 10.1038/nature11670
RNAポリメラーゼ(Pol)IIによる遺伝子転写には、コアクチベーター複合体のメディエーターが必要である。メディエーターは転写調節因子とPol IIを連結し、ヒトの疾病とも関係がある。酵母(Saccharomyces cerevisiae)のメディエーターは分子量1.4メガダルトンで、25のサブユニットがヘッド、ミドル、テイルおよびキナーゼという4つのモジュールを形成している。ヘッドモジュールは重要なメディエーターコアの半分を構成し、保存されたサブユニットであるMed6、Med8、Med11、Med17、Med18、Med20とMed22を含む。S. cerevisiaeヘッドモジュールの最近行われた4.3 Å分解能でのX線解析からは、neck、fixed jaw、moveable jawと呼ばれる3つのサブモジュールを含んだ部分構造モデルが得られた。今回我々は、分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe)由来のヘッドモジュールについて、3.4 Å分解能での新たな結晶構造を決定した。構造は、Med6およびfixed jawの新たな構造と、moveable jawとneckの一部の以前得られた構造およびMed20を欠失させたことで解くことが可能となった。S. pombeのヘッドモジュールは、8つの異なる要素を持つワニの頭に似ており、要素の内の少なくとも4つは可動性である。fixed jawは歯と鼻に当たるドメインを構成しているのに対し、neckサブモジュールは、ヘリックスからなる背骨と片方の足、それに肩と腕、指の構成成分を含んでいる。腕と重要な肩はメディエーターのほかの部分と接触している。fixed jawとmoveable jawおよび中央の関節部は、Pol IIおよびそのカルボキシ末端ドメインとの相互作用への関与が考えられ、関節はin vitroでの転写に必要である。このS. pombeのヘッドモジュールの構造から、S. cerevisiaeのモジュールのモデルの改訂版が得られ、高い保存性と柔軟性が明らかになり、既知の変異が説明され、遺伝子調節の中心となる機構を解明する基盤が得られる。

