脳:腹側被蓋野のGABA性投射は側坐核のコリン性介在ニューロンを停止させて連合学習を強化する
Nature 492, 7429 doi: 10.1038/nature11657
腹側被蓋野(VTA)と側坐核(NAc)は、環境刺激と動機付けに関連した行動結果を連合させる学習に重要である。そうした事象を信号化してVTAからNAcへ送るのは、報酬であれ罰であれ、主にドーパミン作動性ニューロンの役割とされている。VTAにはGABA(γ-aminobutyric acid)を放出するニューロンも含まれ、VTA内の局所的抑制だけでなく、NAcへの投射も行っている。しかし、この遠距離抑制性投射の標的細胞や機能的重要性は不明である。今回、NAcへ投射するVTAのGABA作動性ニューロン(VTA GABA性投射ニューロン)が、NAc内のコリン性介在ニューロン(CIN)を抑制し、刺激–成果学習を強化することを示す。光遺伝学を構造画像化法および電気生理学的研究と組み合わせた手法により、VTA GABA性投射ニューロンが、NAc内のCINを選択的に標的にして、抑制性シナプス後電流を発生させる複数の対称性シナプス結合を作っていることが明らかになった。この知見は、CINが全NAcニューロン中のごく一部にすぎず、これがNAc内のコリン性持続的活動の主要供給源になっていることを考えると、特筆すべきである。この投射路を短時間活性化するだけでNAc CIN自発活動の停止が起こり、これは刺激–成果連合を学習中の動物で記録される停止に似ている。実際、行動中のマウスでCIN活動を強制停止させると、嫌悪結果と関連付けられている動機付け重要刺激に対する識別能が強化された。この結果は、VTA GABA性投射ニューロンが、NAc CINを選択的に標的とすることにより、VTAからNAcへ突出した信号を送る、新たなルートを提供することを示すものである。VTA GABA性投射ニューロンは、NAc内でドーパミン性調節とコリン性調節を指揮する存在として着目される。

