生化学:ユビキチン鎖のコンホメーションは相互作用するタンパク質の認識や活性を調節する
Nature 492, 7428 doi: 10.1038/nature11722
タンパク質の認識機構は、単一ドメインからなるタンパク質では詳細に調べられているが、動的な多ドメイン系ではあまり解明されていない。ユビキチン鎖は、構造的に多様なユビキチン相互作用タンパク質による認識に必要とされる、生物学的に重要な典型的な多ドメイン系である。単独のユビキチン鎖のコンホメーションは、ユビキチン相互作用タンパク質との複合体で観察されるそれとは異なっていることが多く、大きな動的柔軟性、あるいは結合による広範囲にわたる鎖の再構築が起こることが考えられる。我々は、1分子蛍光共鳴エネルギー移動を用いて、Lys63、Lys48あるいはMet1で結合したジユビキチンが、溶液中で複数のコンホメーションをとって存在していることを明らかにした。Lys63とMet1によって結合したジユビキチンは、伸びた「開」コンホメーションと、もっとコンパクトな「閉」コンホメーションをとり、ユビキチン結合ドメインと脱ユビキチン化酵素(DUB)は既存の構造を選択している。これとは対照的に、Lys48で結合したジユビキチンは主にコンパクトなコンホメーションをとっている。DUBは、存在しているコンホメーションを直接認識するが、イソペプチド結合を加水分解するためにユビキチン鎖を変形させる可能性もある。Lys48とジユビキチンの界面の破壊は、コンホメーション動態を変化させ、DUBの活性に影響する。したがって、ユビキチン鎖におけるコンホメーション平衡状態は、ユビキチン系の調節手段をさらに増やしており、多様な結合を作っているポリユビキチンで観察されたさまざまなコンホメーションは、ユビキチンと相互作用するタンパク質の特異性の一因となっているのかもしれない。

