植物:ダイズシストセンチュウ抵抗性遺伝子は病原体に対する植物の新たな抵抗性機構を示す
Nature 492, 7428 doi: 10.1038/nature11651
ダイズ(Glycine max (L.) Merr.)は重要な作物であり、世界的にタンパク質および油脂の持続可能な供給源となっている。ダイズシストセンチュウ(Heterodera glycines Ichinohe)はダイズの根を摂食する微小な線虫であり、ダイズ生産の主要な制約要因の1つとなっている。この線虫は、米国だけでも年間10億ドル(約820億円)を超える収量損失を引き起こしており、ダイズに関して経済的に最も重大な病原体である。この病原体に対しては、抵抗性品種の作付けが中心的な管理戦略となっているが、抵抗性の本質については何もわかっていない。また、この線虫では、既知の抵抗性供給源の大半に対して病原性を示す集団が増加しているため、新たな防除法の開発が必要とされている。本論文では、Rhg4(resistance to Heterodera glycines 4)座位にある遺伝子をマップに基づいてクローン化したことを示す。Rhg4座位は、この病原体への抵抗性に寄与する主要な量的形質遺伝子座の1つである。変異解析、遺伝子サイレンシング、および遺伝子組み換え相補性解析により、この遺伝子が抵抗性をもたらしていることが確認された。この遺伝子はセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼをコードしており、これは自然界に広く存在し、界を越えて構造が保存されている酵素である。この酵素はセリンとグリシンの相互変換を担っており、細胞の1炭素単位代謝に不可欠なものである。抵抗性または感受性を付与するRhg4の対立遺伝子は、この酵素の重要な調節特性を変化させる2つの遺伝子多型によって異なっている。今回の発見で、植物が病原体に対して持つ、これまで知られていない抵抗性機構が明らかになった。この抵抗性遺伝子の作用機序に関する情報は、ダイズという世界的に重要性が増している作物の線虫抵抗性を向上させるために直ちに活用できる。

