Letter
物理:Fe XVII発光問題の起源としての予想外に低い振動子強度
Nature 492, 7428 doi: 10.1038/nature11627
多価の鉄(Fe16+、ここではFe XVIIとする)は、銀河団や恒星コロナなどの高温天体から、最も輝度の高いX線輝線のうち何本かを発生させ、15 Å近傍の波長では太陽放射の大部分を占めている。しかし、このFe XVIIスペクトルは、最良の天体物理学モデルでもうまく合わない。特に問題なのは、最も強いFe XVII輝線の強度が一般に予測よりも弱いことである。これは、チャンドラX線観測衛星およびXMMニュートンX線観測衛星による観測結果の解釈に影響し、この食い違いが、これら天体のプラズマ環境のモデリングが不完全なためなのか、それともその基礎となる原子物理の扱いに欠点があるのかという議論が起こり、まだ続いている。本論文では、鉄イオンのターゲットが、自由電子レーザーからのフェムト秒X線パルスを受けて蛍光を発する実験の結果を報告する。我々の目的は、この輝線の量子力学的記述の重要な側面を分離することであった。意外にも、最良の量子力学的計算から3.6σ異なる予想外に低い相対振動子強度が見いだされた。我々の測定結果からは、一致がよくないのは、衝突過程の不十分なモデリングではなく、基礎となる原子波動関数の質に原因があると考えられる。

