Letter

脳:能動的知覚課題遂行中の知覚入力と運動入力の樹状突起における非線形的統合

Nature 492, 7428 doi: 10.1038/nature11601

樹状突起の活動によって、ニューロンは強力な情報処理能力を持つ。しかし、行動に関連した回路演算に、そうした樹状突起が果たす役割については、よくわかっていない。本論文では、能動的な知覚行動の際に皮質第五層錐体細胞で新たに見いだされた樹状突起全体の非線形性が、知覚と運動の統合に関与していることを報告する。第五層錐体細胞は複雑な樹状突起分枝を持ち、それぞれの分枝は機能的に異なる入力を受け、こうした入力は空間的に離れた領域に投射される。細胞レベルで言えば、こうした別個の経路からの入力が同時に入ることで、樹状突起に自己再生的な電気現象が始まり、活動電位出力が群発し、この強力な樹状突起の非線形性を特徴とする回路によって入力の相関に基づく演算が可能になる。これをin vivoで検証するため、対象位置の決定課題を遂行中のマウスで、バレル皮質の第五層錐体細胞の樹状突起活動を、二光子カルシウムイメージング法で記録した。特定の対象位置やヒゲ角度で能動的な接触が起こったとき、尖端房状樹状突起全体にわたる大振幅の広域カルシウム信号が観測された。こうした広域カルシウム信号は、樹状突起のプラトー電位によって生み出されており、この電位は振動知覚入力と一次運動野活動の両者を必要とする。以上の結果は、哺乳類の新皮質で、能動的知覚の際の知覚と運動の相関情報を非線型的な樹状突起機能で処理していることの直接証拠となる。

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