細胞:カルシウム感知受容体はCa2+とcAMPを介してNLRP3インフラマソームを調節する
Nature 492, 7427 doi: 10.1038/nature11588
NLRP3をコードする遺伝子の変異は、クリオピリン関連周期性症候群(CAPS)として知られる一連の自己免疫疾患を引き起こす。NLRP3は数種類ある細胞質多タンパク質複合体(インフラマソーム)の1つの重要な成分であり、インフラマソームはカスパーゼ1を活性化することにより炎症誘発性サイトカインのインターロイキン1β(IL-1β)の成熟を引き起こす。インフラマソーム活性化モデルとしては、K+流入、活性酸素種生成、リソソーム不安定化など、複数が考えられているが、NLRP3インフラマソーム活性化の詳細な分子機構や、CAPS関連変異がNLRP3を活性化する機構は明らかになっていない。今回我々は、マウスのカルシウム感知受容体(CASR)が、細胞内Ca2+の増加と細胞内サイクリックAMP(cAMP)の減少を介して、NLRP3インフラマソームを活性化することを示す。Ca2+やほかのCASRアゴニストは、細胞外ATPが存在しない状態でNLRP3インフラマソームを活性化し、一方CASRのノックダウンは既知のNLRP3活性化因子に応答して起こるインフラマソーム活性化を減弱する。CASRは、イノシトール 1,4,5-トリスリン酸産生を触媒することにより小胞体ストアからのCa2+放出を誘導するホスホリパーゼCを介してNLRP3インフラマソームを活性化する。細胞質Ca2+の増加は、インフラマソーム構成因子の集合を促進し、細胞内Ca2+はCAPS患者由来の細胞での自発的インフラマソーム活性に必要である。CASR刺激は細胞内cAMP濃度も低下させ、これはCa2+とは無関係にNLRP3インフラマソームを活性化する。cAMPはNLRP3に直接結合してインフラマソームの集合を阻害し、cAMP減少はこの阻害を解除する。cAMPのCAPS関連変異体NLRP3に対する結合親和性は、野生型NLRP3に比べてかなり低く、CAPS患者末梢血単核細胞での成熟型IL-1βの制御されない産生はcAMP増加により低下する。まとめると、以上の結果は、Ca2+とcAMPがCAPSの分子病態発現にきわめて重要な役割を持つNLRP3インフラマソームの重要な2つの分子調節因子であることを明らかにしている。

