Letter

気候:万年雪への融解水の貯蔵によって緩和されるグリーンランド氷床の海水準上昇への寄与

Nature 491, 7423 doi: 10.1038/nature11566

グリーンランド氷床の表面融解は、その面積の広さ、期間共に、衛星観測が始まって以来、増加傾向を示している。2005年、2007年、2010年、2012年に融解の記録は更新された。表面融解が増加している場所の多くは浸出帯、つまり雪と万年雪(すなわち、部分的に圧縮された雪)に 永続的に覆われた蓄積域である。浸出帯の融解水の行く末は、十分には絞り込まれていない。融解水の一部は、溶けた地点から離れた所に移動し、最終的に氷床の流れの動態、質量平衡、全球の海水準に影響を及ぼすが、その一方で融解水の一部は、冷たい雪(cold snow)や万年雪に浸透して再凍結するだけで、これらの影響を及ぼさない可能性がある。本論文では、グリーンランド氷床の浸出帯に現在貯蔵可能な水の量を定量化し、数百ギガトンの融解水を貯蔵する能力があることを示す。我々は、融解の進む蓄積域の約85 kmの横断標本地に沿って、万年雪の構造と融解水の保持能力に関するin situ観測データを収集した。このデータは、融解水が深く(10 m以上)しみ込む浸透事象が繰り返し起こることで、最終的には間隙がすべて水で満たされることを示している。北極の温暖化の下で将来の表面融解が増大するにつれて、海水準上昇に寄与しなかった融解水の一部は、浸出帯に存在する間隙を満たすであろう。我々は、この融解水の貯蔵量の下限を322±44ギガトン、上限を1,289+388−252ギガトンと見積もっている。さらに、可能性が高いと思われる将来の気候条件の範囲では、この間隙を満たすのにあと数十年かかることも見いだされている。したがって、一度間隙が満たされてしまえば、すぐに間隙が再生されることはないが、融解水が万年雪柱の間隙を満たす経路は、海水準上昇に寄与する面積の拡大を遅らせるであろう。

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