生化学:ZucchiniがpiRNA生合成におけるヌクレアーゼであることを示す構造生化学的性質
Nature 491, 7423 doi: 10.1038/nature11502
PIWIファミリーのタンパク質とそれに関連する低分子RNA(piRNA)は進化上保存された自然免疫機構で、生殖細胞ゲノムを可動性遺伝因子の活動から守るという重要な働きをしている。piRNA集団は、トランスポゾンを定義付ける分子的特徴を含んでいる(つまり相補性が高い)ために、宿主遺伝子とトランスポゾンを識別し、トランスポゾンを選択的に抑制することができる。piRNAは2つの異なる経路により形成され、一次piRNAあるいは二次piRNAが生じる。一次piRNAは、piRNAクラスターと呼ばれる個別のゲノム遺伝子座に由来し、長い一本鎖前駆体から生じるらしい。一次piRNAの生合成には、少なくとも2回の核酸分解段階がある。piRNAクラスター転写産物を切断して、リン酸基が1個結合したpiRNA5′末端を形成する酵素はまだ見つかっていない。piRNAの3′末端は、piRNA前駆体が対応するPIWIに取り込まれてから、エキソヌクレアーゼによる刈り込みを受けて形成されるらしい。二次piRNAは適応的ないわゆる「ピンポン」増幅サイクルによって生じ、その5′末端の形成はPIWI自体の活性によって行われる。一次piRNAの生合成には、複数のタンパク質が関与することが遺伝学的に明らかになっている。その1つであるキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)のZucchiniは、ホスホリパーゼDファミリーに属するホスホジエステラーゼで、このファミリーにはホスホリパーゼとヌクレアーゼの両方が含まれる。今回我々は、マウスのZucchini相同体(mZuc;別名PLD6)の可溶性二量体断片を作成し、これが一本鎖特異的なヌクレアーゼ活性を持つことを明らかにした。分解能1.75 Åで得られた結晶構造から、mZucはホスホリパーゼDファミリーのホスホリパーゼ類よりもヌクレアーゼ類に対して構造的類似性が高いことがわかった。これらのデータを総合すると、Zucchiniタンパク質は一次piRNA生合成過程においてヌクレアーゼとして働き、おそらく一次piRNAの5′末端を形成していると考えられる。

