医学:腺腫に関連する障壁欠陥と微生物産物がIL-23/IL-17を介する腫瘍増殖を推進する
Nature 491, 7423 doi: 10.1038/nature11465
結腸直腸がんの約2%は、既存の炎症と関連付けられ、大腸炎関連がんとして知られるが、大半の結腸直腸がんは、炎症性腸疾患を持たない患者で発症する。結腸直腸がんがたどることの多い遺伝的経路では、腫瘍が出現および進行する際に、adenomatous polyposis coli(APC)腫瘍抑制因子の喪失とβカテニンの活性化が起こり、それに続いてK-Ras、PIK3CAおよびTP53に変異が生じる。しかし興味深いことに、大腸炎関連がんの特徴である「炎症性シグネチャー」遺伝子は、結腸直腸がんでも発現が上昇している。さらに、ほとんどの固形腫瘍と同様に、結腸直腸がんでも、「腫瘍誘発性炎症(tumour-elicited inflammation)」と呼ばれる免疫性/炎症性の浸潤が見られる。CD4+ TH1細胞やCD8+細胞傷害性T細胞の浸潤は結腸直腸がんの良好な予後徴候であるが、骨髄性細胞やヘルパーTインターロイキン(IL)-17産生(TH17)細胞は腫瘍形成を促進し、また、ステージI/IIの結腸直腸がんにおける「TH17発現シグネチャー」は無病生存の激減と関連する。発症機序的に重要であるにもかかわらず、腫瘍誘発性炎症が出現する原因となる機構はよくわかっていない。多くの上皮がんは微生物叢の近くで発生するが、微生物叢は上皮障壁によって免疫細胞と物理的に分離されている。我々は、ヒトの結腸直腸がんと同様にIL-23とIL-17の発現上昇を示す結腸直腸腫瘍形成マウスモデルで、腫瘍誘発性炎症の原因となる機構を調べた。本論文では、IL-23シグナル伝達が、腫瘍の増殖やプログレッション、および腫瘍のIL-17応答発生を促進させることを示す。IL-23を産生するのは主に腫瘍関連骨髄性細胞であり、これらの細胞は、腫瘍には浸透するが隣接組織には浸透しない微生物産物によって活性化されると考えられる。早期結腸直腸がんも進行後期の結腸直腸がんも、いくつかの障壁タンパク質の発現異常を示す。我々は、結腸直腸がんを開始させる遺伝学的な病変によって引き起こされる障壁の劣化が、腫瘍誘発性炎症の引き金となる微生物産物の腺腫への侵入を招き、それが腫瘍の増殖を推進すると提案する。

