Letter

生態:複合的な農業用殺虫剤暴露はハナバチ類の個体レベルとコロニーレベルの形質に重大な影響を与える

Nature 491, 7422 doi: 10.1038/nature11585

野生および飼養性の花粉媒介昆虫に関して報告されている広範な衰退は、全球的な生態系サービスおよび農業生産に深刻な影響を与えている。昆虫による授粉の約80%はハナバチ類によるものであるため、現在見られるハナバチ類個体群の衰退について原因を解明し、緩和することは重要である。最近の研究では、こうした衰退に農業用殺虫剤が関係しているとされ、このような化学物質への暴露がハナバチの行動の変化やコロニーの女王バチの出現数減少と関連付けられている。しかし、個体の行動変化と、その結果生じるコロニーレベルの影響との重要な関連は、まだ明らかになっていない。社会性のあるハナバチ類のコロニーは、多数のワーカー個体の集団的な行動に依存している。そのため、圃場レベルの農業用殺虫剤濃度が個体レベルで及ぼす影響が非常に少ないか、あるいは致死量未満のものであるとしても、ハナバチの社会がそうした影響をやわらげることができるのか、それとも、コロニーレベルで累積されて深刻な影響が出るのかはよくわかっていない。さらに、広範な農業集約化は、ハナバチが採餌時にさまざまな農業用殺虫剤に暴露されることを意味しているが、そうした殺虫剤暴露の複合的な影響の可能性については、ほとんど調べられていない。今回我々は、圃場レベルの暴露量に近い濃度の農業用殺虫剤2種類(ネオニコチノイド系およびピレスロイド系)にマルハナバチを長期間暴露すると、自然な採餌行動が損なわれてワーカーの死亡率が上昇し、幼虫の発育やコロニーの成功度が大幅に低下することを明らかにした。また、ワーカーの採餌の能率、特に花粉採集効率が大きく低下し、採餌個体の動員、ワーカーの喪失、および全体的なワーカーの生産性に関して連鎖反応的な影響が見られることもわかった。さらに、農業用殺虫剤への複合的暴露でコロニーが崩壊する傾向が高まることを示す証拠も得られた。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度