Letter

生理:酸感受性イオンチャネルを標的とするブラックマンバ毒液ペプチドの鎮痛効果

Nature 490, 7421 doi: 10.1038/nature11494

ポリペプチド毒素は、イオンチャネルの生理的、病態生理的機能を理解するうえで中心的役割を果たしてきた。痛みの研究では、ポリペプチド毒素が基礎研究だけでなく臨床応用においても重要な進展をもたらした。酸感受性イオンチャネル(ASIC)は一般に、ヒトを含めた痛覚経路で主要な役割を担うと考えられている。最近、あるヘビ毒素が侵害受容性ニューロンで末梢性ASICを活性化することで疼痛が生じることが示された。今回我々は、別のヘビ、ブラックマンバの新しいタイプの3本指型ペプチドが、中枢または末梢のニューロンに発現するASICを抑制することで鎮痛効果をもたらせることを示す。我々はこれらのペプチドにマンバルギン(mambalgin)と名付けた。マンバルギンはマウスでは毒性を示さず、中枢および末梢への投与で強力な鎮痛効果を示し、その強度はモルヒネに匹敵する。ところが、この効果はナロキソンに抵抗性であり、マンバルギンはモルヒネに比べて耐性出現がはるかに少なく、呼吸抑制も示さない。マンバルギンによる薬理学的抑制とノックダウンおよびノックアウト動物を組み合わせて用いることにより、中枢のニューロンではASIC1aとASIC2aサブユニットからなる異種複合体チャネル、侵害受容器ではASIC1bを含むチャネルの抑制が、マンバルギンの鎮痛効果に関係することが示される。これらの結果は、疼痛治療の新たな標的候補を同定し、これらを遮断して強力な鎮痛効果をもたらす天然のペプチドを提示する。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度