免疫:NLRC4のリン酸化はインフラマソーム活性化に必須である
Nature 490, 7421 doi: 10.1038/nature11429
NLRC4は自然免疫細胞に発現しているNOD様受容体ファミリーメンバーで、細胞質に局在している。NLRC4は細菌由来のフラジェリンやIII型分泌系を間接的に感知し、インフラマソーム複合体を形成することで反応し、それらの複合体がカスパーゼ1の活性化やピロトーシスを促進する。今回我々は、カルボキシ末端に3つのFlagタグが付いたNLRC4を発現するノックインマウスを使って、マクロファージにネズミチフス菌(Salmonella enterica serovar Typhimurium、別名Salmonella typhimurium)を感染させると、進化的に保存されている533番目のセリン残基(S533)のみがリン酸化されることを明らかにした。NLRC4 phospho-Ser533抗体でウェスタンブロッティングを行った結果、この翻訳後修飾はNLRC4の関与が知られている刺激の存在下においてだけ起こり、近縁のタンパク質NLRP3やAIM2がかかわる刺激では起こらないことが確認された。NLRC4のS533がアラニンに変換された変異体S533Aで再構築されたNlrc4−/−マクロファージでは、野生型NLRC4で再構築した場合とは異なり、ネズミチフス菌によるカスパーゼ1活性化やピロトーシスが起こらなかった。このことは、S533のリン酸化がNLRC4インフラマソームの機能に必須であることを示している。反対に、NLRC4のリン酸化状態を模倣した変異体であるS533Dは、感染が起こっていない場合でもマクロファージのピロトーシスを速やかに誘導した。NLRC4リン酸化活性を生化学的に精製し、キナーゼ阻害剤によるスクリーニングを行ったところ、PRKCD(PKCδ)がNLRC4キナーゼ候補として同定された。in vitroでは、組み換え型PKCδはNLRC4のS533をリン酸化し、またマクロファージ細胞溶解液からPKCδを抗体によって除去すると、NLRC4 S533のリン酸化が阻害された。またPrkcd−/−マクロファージでは、カスパーゼ1活性化やIL-1β分泌の大幅な低下が見られ、特にネズミチフス菌に対する応答の場合にそれが著しかった。リン酸化が起こらないNLRC4 S533A変異体は、プロカスパーゼ1を動員できず、ネズミチフス菌感染時にインフラマソームの形成を示す凝集体(speck)を誘導しなかった。したがって、NLRC4 S533リン酸化はおそらく、NLRC4インフラマソーム活性と宿主の自然免疫に必要なコンホメーション変化を引き起こすと考えられる。

