Letter

神経:線虫での介在ニューロンの活動制御による走化性行動の誘発

Nature 490, 7419 doi: 10.1038/nature11431

動物は、環境中の化学誘引物質の濃度勾配を突き止め、それをたどって食物を見つける。線虫(Caenorhabditis elegans)は小さな神経系を持つので、神経活動の動態がこのような探索行動を制御する仕組みを解明するためのよいモデル系となる。線虫で行われた広範な研究では、レーザー切除や固定した線虫での活動の記録、変異体を使った実験などにより、走化性の基盤となる運動器官の多様な動きに必要なニューロンが明らかにされた。しかし、線虫の複雑な走化行動を制御するのに最低限必要な神経活動パターンは、まだ解明されていない。介在ニューロンの活動が異なった運動プログラムをどのように協調させ、動物を食物へと導くのかを解明するために、自由に動いている線虫の神経活動を、光遺伝学と新しい光学的手法を用いて直接操作し、走化行動を誘発した。そして走化行動中に生じる活動パターンのタイプを推定し、個々のニューロンをこのパターンで興奮させることにより、走化行動に不可欠な運動プログラムを制御する介在ニューロンを同定した。特に、わずか1個の介在ニューロン対(AIY)での活動動態を制御するだけで、線虫が仮想的な光勾配を見つけ、そちらに向かって方向転換し、進むようになるのに十分であることがわかった。線虫が勾配中を移動するにつれてAIYで誘発される2種類の異なった活動パターンは、反転と段階的方向転換を制御して、走化行動を駆動する。AIYニューロンは、ほとんどの化学受容性ニューロン、温度受容性ニューロンのシナプス後側にあるので、AIYのこのような活動パターンはおそらく、動物のさまざまな走性行動を制御し、協調させるのに重要な役割を担っているのだろう。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度