農業:栄養素および水の管理によって収量ギャップを解消する
Nature 490, 7419 doi: 10.1038/nature11420
人類にとって今後数十年間の重大な難問の1つは、地球の環境システムの十全性をこれ以上損なうことなく将来の食糧需要を満たすことである。農業システムはすでに地球環境を悪化させる大きな要因となっているが、人口の増加やカロリーおよび肉類の多い食物の消費量増大により、2050年には人類の食糧需要が約2倍になると予想されている。そうした圧迫的要因を受け、農業システムによる環境への影響を減らすと同時に生産性の低い農地景観の収量を増加させる方法として、「持続可能な農業生産の強化(sustainable intensification)」がしだいに関心を集めるようになってきた。しかし、そうした取り組みが世界の農地の将来に何を引き起こす可能性があるのかはよくわかっていない。本論文では、「収量ギャップ」(ある地域の実際の収量と実現可能な収量との差)の縮小による農業生産強化の見通し、農業管理法および収量限界の空間的パターン、ならびに収量の増加を実現するのに必要な管理法の変更を、全球規模で評価した結果を示す。そこから、全球収量の変動は、肥料の使用、灌漑、および気候に強く支配されていることがわかった。収量ギャップを解消して実現可能な収量のほぼ100%を達成することで、生産量の大規模な増加(多くの作物で45〜70%増)が可能であり、収量ギャップを解消するのに必要な管理法の変更は、地域および強化の現状によって大きく異なる。また、肥料の過剰な使用をやめることで農業の環境への影響を軽減しつつ、主要穀物(トウモロコシ、小麦、コメ)の生産量を約30%増加できる可能性は十分にあることがわかった。今後数十年の食糧の確保および持続可能性という困難を乗り切ることは可能であるが、栄養素および水の管理法には大幅な変更が必要だと考えられる。

