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再生医学:ヒトES細胞由来の耳前駆細胞による聴覚誘発応答の回復
Nature 490, 7419 doi: 10.1038/nature11415
難聴は世界的に罹患率の高い病気であり、主に感覚有毛細胞や、それらと結合するらせん神経節ニューロン(SGN)の消失により起こる。あらゆる種類の難聴のうち、聴神経障害には特に関心が持たれている。この病気は、SGNの損傷が主な特徴だが、有毛細胞は比較的維持されており、聴覚障害患者のかなりの割合を占める。有毛細胞の消失は蝸牛の移植により部分的に代償できるが、感覚ニューロンの消失に対処できる実用的な治療法がなく、神経分布が疎であることが移植で期待される効果を制約している。幹細胞を用いた損傷神経回路の回復は、治療戦略として有望である。本研究では、耳プラコードの初期指定にかかわるシグナルを用いて、ヒト胚性幹細胞から分化誘導する手法を示す。得られた2種類の耳前駆細胞はin vitroで有毛細胞様細胞と聴覚ニューロンに分化でき、期待された電気生理学的性質を示す。さらに、聴覚神経障害モデルに移植すると、耳神経前駆細胞は生着して分化し、聴覚誘発性応答の閾値を有意に改善した。以上の結果は、細胞を用いた難聴治療の開発に向けて、さらなる研究を促すだろう。

