Letter

進化:植物胚発生におけるトランスクリプトームの砂時計

Nature 490, 7418 doi: 10.1038/nature11394

動物と植物の発生は、胚発生と呼ばれる構成的な段階から始まり、この発生段階は両系譜で独立に進化した。19世紀初期の発生学におけるメッケル・セールの法則やフォン・ベーアの法則に基づいた脊椎動物発生の比較解剖学が示すように、さまざまな分類群の胚は、初期には異なるように見えるが、胚発生中期には似たような形態に収斂し、後期に再び多様化する。この形態学的な連続過程は、胚の「砂時計」として知られ、胚発生中期の高度に保存されたボトルネック(砂時計のくびれ部分)は、ファイロティピック段階と呼ばれる。ゼブラフィッシュとショウジョウバエの胚を用いた最近の解析では、砂時計モデルを支持する説得力のある分子的な裏付けが示されたが、それはファイロティピック段階では、古い遺伝子がトランスクリプトームを優占しており、また、全体的な遺伝子発現プロファイルが最も保存されているからである。胚の砂時計は動物では広く調べられているものの、胚発生を進化させた進化系統樹で2番目に主要な界である植物では、胚の砂時計はまだ報告されていない。本研究では、2つの相補的な手法を用い、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)の胚における系統的トランスクリプトーム(phylotranscriptome)から、分子レベルの砂時計の証拠を示す。植物には形態学的特徴に基づいた砂時計がない可能性があり、そのため形態的パターンと分子的パターンが共役していないとも考えられるため、この結果は非常に意義深い。これまでに動物で報告された発生砂時計のパターンと合わせて考えると、今回の結果は、分子砂時計の収斂進化と、界を超えて保存された胚発生の論理があることを示唆している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度