Letter
生態:プランクトンの多様性と海洋循環が調節する海洋の窒素蓄積量
Nature 489, 7416 doi: 10.1038/nature11357
海洋性植物プランクトンの平均的な窒素リン比(16N:1P)は、平均的な海水の栄養素含量(14.3N:1P)に近い値となっている。この状態は、海洋の窒素収支に対する生物学的制御によって生じると考えられており、生物が利用可能な窒素の脱窒細菌による除去が起こって、この必須栄養素がほかの種の増殖を制限するような場合には、窒素を補充するジアゾ栄養性植物プランクトンを幅広く選択することが常に可能になっている。本論文では、現実的な海洋循環モデルとプランクトンバイオマスの一様なN:P比という状況では、このフィードバック機構によって観測値の2倍以上という海洋の硝酸塩不足が生じることを明らかにする。見落とされている重要な現象は、植物プランクトンの代謝におけるN:P必要量の多様性であり、これは種の構成と関係する大規模なパターンを示すことが最近明らかにされている。ジアゾ栄養生物が亜熱帯海域の高N:P群集と競争するようにその変動をモデル化すると、海洋の窒素含量は増加し、プランクトンの平均的なN:P比を超える可能性すらある。後者の状態はこれまであり得ないと考えられてきたもので、現代の海洋では、N:P比の低い珪藻類が優占する遠隔海域のバイオームが発した化学量論的シグナルを伝える浅い循環によって妨げられている。したがって、プランクトンの多様性の大規模なパターンとそれらを結ぶ循環経路は、海洋中の利用可能な固定窒素の量を決定する重要な因子となっている。

