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生態:性特異的な揮発性物質が、小型節足動物を介した蘚類の受精に影響する

Nature 489, 7416 doi: 10.1038/nature11330

非維管束植物の有性生殖には、単細胞で自由に動ける精子が、陸生環境中で雄から雌の生殖構造へと到達する必要がある。蘚類では小型節足動物が精子を拡散させる場合があることが、最近のデータで示されている。しかし、この相互作用に化学的コミュニケーションがかかわっているとしても、それについてはほとんど解明されておらず、蘚類において、非生物的な要因での拡散に比べて小型節足動物による拡散が相対的にどの程度重要かもわかっていない。今回我々は、蘚類の汎存種ヤノウエノアカゴケ(Ceratodon purpureus)が、組織から、顕花植物と昆虫間の送粉相利共生で報告されているのと同様な化学的多様性を持つ、複雑な揮発性のにおい物質を発することを明らかにした。また、この揮発性におい物質の化学組成が性特異的であること、コケに宿る小型節足動物はそれぞれ、これらの性特異的な揮発性物質への誘引のされ方が異なることも判明した。さらに、実験的な微小生態系を利用して、水噴霧下でも小型節足動物がコケの受精率を有意に高めることを明らかにし、小型節足動物による精子拡散が、コケの受精の成功に重要な役割を果たしていることが明確になった。これらの知見を総合すると、地球上で最も古い陸生生物の2つの系統である蘚類と小型節足動物の間に、「植物と送粉者」の関係に似た、においを基盤とする関係が進化してきたことが示唆される。

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