Letter 免疫:ウイルスの免疫調節因子は一般的戦略および独特の戦略を用いてヒトの分子ネットワークを混乱させる 2012年7月26日 Nature 487, 7408 doi: 10.1038/nature11289 ウイルスは、複製、組み立ておよび伝播のために宿主細胞に侵入しなければならない。ウイルスはゲノムのサイズが限られているため、自身の生活環を促進し、かつ宿主の免疫防御機構をも逃れるために、宿主の細胞過程を効率的に利用する方法を進化させなければならなかった。生産的なウイルス増殖に不可欠な免疫調節機能を持つウイルスのオープンリーディングフレーム(viORF)の多くが、さまざまなウイルス種で同定されている。しかし、ウイルスの混乱戦略の全体像を知るために、これらのviORFが相互作用する宿主因子を同定する包括的研究は行われていなかった。本論文では、30種のウイルスから得た70個の自然免疫調節viORFを用い、特定のヒト細胞系で質量分析法を使って宿主因子を検討することで、宿主の分子防御ネットワークのウイルスによる異なる混乱パターンを推定しうることを示す。viORFが標的とする579個の宿主タンパク質は、意外にも多数のシグナル伝達経路や細胞過程に含まれていることから、抗ウイルス免疫には、まだ知られていない機構があることが示唆される。さらに我々は、viORFの標的であるヘテロ核リボ核タンパク質U、ホスファチジルイノシトール-3-OHキナーゼ、WNK(with-no-lysine)キナーゼファミリーおよびUSP19(ユビキチン特異的ペプチダーゼ19)が、宿主の細胞防御系での脆弱なノードであることを実験的に証明した。ウイルスの免疫調節因子が宿主の分子ネットワークに与える影響の評価から、個々のウイルスおよびウイルス種が使用する混乱戦略が明らかになった。我々のデータは、広域抗ウイルス療法、および特異的抗ウイルス療法の設計にも役立つ。 Full Text PDF 目次へ戻る