Letter 免疫:腫瘍特異抗原の発現はがん免疫エディティングの基盤となる 2012年2月16日 Nature 482, 7385 doi: 10.1038/nature10803 がん免疫エディティングは、免疫細胞、特に適応免疫系のリンパ球が、がんの発生から宿主を守る一方、免疫攻撃に対する感受性が低下した腫瘍細胞のアウトグロース(outgrowth)を促進して腫瘍の進展を変化させる過程である。発がん物質誘発性のがんマウスモデルによる研究で、免疫不全マウスではそのために原発腫瘍発生の感受性は高くなるが、そのような腫瘍の増殖能は野生型マウスに移植した後では低下することが示されている。しかし免疫エディティングの過程については多くの問題が未解決であり、それは既知の抗原性の複雑さや、発がん物質誘発性腫瘍の多様性も原因となっている。本論文では、遺伝的に操作された自発性の肉腫発生マウスモデルを用いてがん免疫エディティングの過程を調べた。この系では同じ遺伝的、病理組織学的特性を持った、免疫原性ありとなしの腫瘍をin situで誘発して発生から増殖までを追跡することができる。免疫能のあるマウスでのそのような腫瘍の発生と、広域免疫不全マウスあるいは特異的抗原寛容性のマウスでのそれらの発生とを比較することにより、リンパ球による腫瘍特異的抗原の認識が肉腫に対する免疫エディティングにきわめて重要であることを示す。さらに、原発肉腫はエディティングを受け、Tリンパ球の攻撃を免れることができる細胞の選択的アウトグロースによって、免疫原性が低下した。腫瘍抗原発現の消失あるいは主要組織適合性複合体Iによる提示がなくなることが、この免疫エディティング過程が起こるための必要十分条件であった。これらの結果は、腫瘍特異抗原の発現が免疫監視、そしておそらくは免疫治療においても重要であることをはっきり示している。 Full Text PDF 目次へ戻る