イエローストーン火山活動の始まりと考えられているスティーンズ–コロンビア川(SCR)洪水玄武岩の起源については議論が続いており、マントルプリュームと背弧過程のどちらかがかかわる概念モデルが提案されている。USArray(United State Seismic Array)データに基づいた最近のトモグラフィ逆解析は、米国西部のこれまでになく詳細な上部マントル構造を明らかにしており、イエローストーン火山活動に影響を及ぼすと考えられているファラロンプレートの沈み込みをシミュレートする地球力学モデルに強い制約条件を与えている。本論文では、最もよく適合する地球力学モデルは、オレゴン州東部の地下で約1,700万年前にスラブが断裂して、これに関連して生じたスラブ下のアセノスフェア上昇流がファラロンスラブを熱的に浸食し、これがスラブ浅部での隙間形成につながった状況を示唆していることを明らかにする。断裂は力学的圧力勾配に駆動されて、南北に急速に伸び、約200万年の間にオレゴン州東部とネバダ州北部全体に沿って900 kmにわたる距離に広がった。この裂け目は、SCR–北ネバダリフト洪水玄武岩事件の際の主要な火山性岩脈の出現と、空間的にも時間的にも一致している。モデルはメルト源がスラブ底部から始まる洪水玄武岩に対して、最初は海洋リソスフェアが再溶融し、次第に上昇して最後は海洋地殻の再溶融で終わるという岩石成因論的な層序を予測している。このような進行は、SCRの地球化学的性質の解釈と、イエローストーンプリュームと推定されるものの関与について続いている論争を調整する一助となる。この研究結果は、大規模火成区の形成に対する新しい機構を示唆している。