Letter 材料:クモの糸の非線形材料挙動がクモの巣をロバストにする 2012年2月2日 Nature 482, 7383 doi: 10.1038/nature10739 天然材料は、機能を最適化する精巧な設計で知られており、それをよく示す例としては、血管の弾性や骨の靭性、真珠層による保護などが挙げられる。特に興味をそそるのは、クモの糸であり、タンパク質のアミノ酸配列から巣の形状にまで、さまざまな特性が調べられてきた。クモ糸という材料系は、クモの多くの必要を満たすのに非常に適しており、優れた機械的特性を持つ。クモ糸繊維の優れた性能の基礎となる分子設計や、クモの巣のような構造体の機械的特性について多くの研究がなされてきたにもかかわらず、クモ糸の機械的特性がクモの巣の健全性と性能にどのように寄与するのかまだわかっていない。今回我々は、クモの巣の変形実験とシミュレーションについて報告し、応力に対するクモ糸の非線形応答(降伏点で軟化し、高ひずみ時には破壊するまで相当度硬化する)が荷重によって生じる変形を局所化するうえできわめて重要であり、結果としてクモの巣を機械的にロバストにすることを突き止めた。非線形応力応答が、材料の線形弾性挙動や弾塑性(軟化)挙動と比べて、クモの巣の構造欠陥に対して優れた抵抗性をもたらすことが、制御シミュレーションによって確認された。さらに、降伏点前では、風による荷重などの分布荷重下で小規模の変形を起こしたクモ糸の剛性挙動が、巣の構造健全性の維持に不可欠であることも示す。したがって、巣を形成しているクモ糸の優れた性能は、単に並はずれた極限的強さとひずみに起因するのではなく、ひずみに対するクモ糸の非線形応答とクモの巣でのクモ糸の幾何学的配置に起因する。 Full Text PDF 目次へ戻る