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細胞:Ficタンパク質の分子内、あるいは分子間での活性部位妨害によるアデニリル化制御

Nature 482, 7383 doi: 10.1038/nature10729

Ficタンパク質は、広く見られるFIC(filamentation induced by cyclic AMP)ドメインを持つタンパク質で、AMP化ともよばれるアデニリル化、つまり標的タンパク質へのAMPの付加を触媒することが知られている。哺乳類細胞では、病原性細菌によって注入されたFicタンパク質による低分子量GTPアーゼのアデニリル化がアクチン細胞骨格の崩壊を引き起こし、細胞死の原因になることがある。Ficタンパク質は、生物における3つのドメインすべてに幅広く見られ、内在性のシグナル伝達過程にきわめて重要な役割を担うと考えられているが、有害と考えられるそのアデニリル化活性を調節する仕組みは、まだわかっていない。今回我々は、FICドメインを介したアデニリル化が、ATP結合部位の妨害という保存された仕組みによって制御されていることを示す。この仕組みには、保存された(S/T)XXXE(G/N)モチーフを持つ阻害性αヘリックス(αinh)がかかわっており、必ず含まれるこのグルタミン酸がATPのγ–リン酸の結合と競合することがわかった。Bartonella schoenbuchensisのVbhT毒素によってFICドメインを介して引き起こされる細菌の増殖停止はVbhA抗毒素分子によって抑制され、それはVbhA抗毒素のαinhがVbhTのFICドメインに強く結合するためであることが構造・機能解析によって明らかになっているが、これはこの見方と一致する。さらに、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)やShewanella oneidensisなどの他の細菌のFicタンパク質との構造比較から、αinhがアミノ末端、あるいはカルボキシ末端に突出部を作り、それがFICドメインへと伸びて、同一分子内でATP結合部位を部分的に塞いでいる場合が多いことがわかった。ヒトホモログFICD(別名HYPE)などのさまざまなFicタンパク質でαinhの阻害性モチーフに変異を導入すると、アデニリル化活性がかなり上昇し、これは阻害が解除されるという予測と一致する。注釈付けされた全Ficタンパク質の構造ホモロジーモデリングによって、阻害性モチーフはアデニリル化活性を持つと推測される全FICドメインの約90%に存在し、その例はすべてのドメインの生物とウイルスにおよんでいることがわかり、αinhによる阻害は一般的に広く見られ、進化の間を通じて保存されていることが示された。今後の研究により、内在性因子や外来因子がαinhとFICの活性化部位との相互作用を弱めてアデニリル化活性を調節する仕組みが明らかになるだろう。

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